当寺では、宗教的・文化的に貴重な宝物を所蔵しています。東本願寺の法宝物は代々法主家が伝えてきましたが、それらに加えて歴史資料も嵯峨への御遷座(※4)と同時に移転させました。
毎年春には様々なテーマで一般の方々向けに展示会を催しています。
当寺に伝わる宝物のうち、以下5点をご紹介致します。
※4 遷座:神仏の座を他に移すこと。
東本願寺大谷家系譜
系譜とは単なる家系図ではなく、所有者がその家の当主であることを示すものです。当寺に伝わる大谷家系譜は前住闡如上人より現住に託されたものです。
顕如上人御筆 教如上人御法名
永禄13年(1570年)2月16日 本願寺第12世(東本願寺開基)教如上人が新門跡(嫡子)として得度された折、父である第11世顕如上人より授けられた法名。
法名の二文字目に「如」という文字が使用されていることは諱(※5)「光壽」の「光」という文字と共に、教如上人が得度時すでに顕如上人の後継として定められていたことを表しています。
教如上人は、この御法名を法衣の襟に縫い込まれて肌身離さず常に身につけておられました。そのため小さく折りたたまれており、包紙はボロボロに擦りきれています。
※5 諱:身分の高い人の実名。生存中は呼ぶことをはばかった。貴人の実名を敬っていう。
大谷家雛人形
大正13年(1924年)、大谷智子前裏方が久邇宮家より大谷家にお輿入れの際、久邇宮邦彦王御夫妻が良子女王(香淳皇后)の雛壇飾りといっしょにあつらえられた雛人形をはじめ、江戸時代から大谷家に伝わる雛人形です。
平成25年春には『大谷智子展』を開催し、雛人形、和歌や書、その他婚礼衣装や嫁入道具なども展示しました。
伊勢物語絵巻
新清和院(1779~1846年)がお持ちになっていたもので、本願寺第20世達如上人がお形見としていただかれました。
これは平成26年春に『本願寺に伝わる御宸翰(※6)―天皇の墨跡―』と題して、多くの御宸翰を中心に25点を展示したうちの一つです。
※6 宸翰:天皇直筆の文書
椶櫚蒔繪鞍しゅろまきえくら
本願寺第12世教如上人が徳川家康公からいただかれた数々の物の一つ。教如上人と家康公は深い親交があり、旧東本願寺(現真宗本廟)の寺地も家康公によって与えられたものです。
家康公ゆかりの品々は平成27年春『徳川家康と東本願寺』の宝物展にて展示しました。